歯ぎしり・食いしばりは？
睡眠中に無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎関節に大きな負担をかけます。
ギリギリと音を立てて歯を擦り合わせたり、強い力で噛みしめたりすることで、歯の摩耗や欠け、知覚過敏、さらには顎関節症の原因にもなります。
多くの場合は自覚が難しく、気づかないうちに歯や骨にダメージが蓄積してしまうため、早めの対策が大切です。
歯ぎしり・食いしばりが
引き起こすデメリット
詰め物・被せ物が取れやすくなる
強い力で歯を揺さぶることで、歯と詰め物をつなぐセメントが破壊され、詰め物が外れることがあります。特に、何度詰め直しても繰り返し外れるケースでは、歯ぎしり・食いしばりが原因の可能性が高いです。
歯の根元が削れて知覚過敏になる
強い力が歯と歯ぐきの境目に集中すると「くさび型欠損」が起こり、象牙質が露出してしみやすくなります。詰め物で補うこともできますが、歯ぎしりが続くと再び外れてしまうため、根本的な改善が不可欠です。放置すると神経が死んでしまうリスクもあります。
歯周病が悪化しやすくなる
歯ぎしりの力で歯が揺さぶられると、炎症がなくても歯槽骨が徐々に失われていきます。さらに歯周病菌による炎症が加わることで、症状が急速に進行しやすくなります。治療を行っていても、骨がダメージを受けている状態では改善が難しいため、歯ぎしりの傾向がある方には夜間マウスピースの併用が効果的です。
歯根膜炎になりやすい
歯根膜炎とは、歯根を支える膜に炎症が起こっている状態です。歯ぎしりや食いしばりの強い力が続くことで歯根膜に負担がかかり、歯ぐきの腫れや「歯が浮いたような感覚」、噛んだときの痛みといった症状が現れます。歯が割れてしまう前兆となることも多いため、異変を感じたら早めの受診が大切です。
当院で対応している
歯ぎしり・食いしばりの治療方法
スプリント療法
スプリント療法(マウスピース治療)は、歯ぎしりや食いしばりによる歯や顎へのダメージを和らげることを目的としています。
睡眠時に専用のマウスピースを装着することで、顎にかかる過度な力を分散させると同時に、歯ぎしりによる不快な音の防止にもつながります。
継続的に使用することで、歯の摩耗や破折、顎関節への負担を軽減でき、長期的に口腔内の健康維持をサポートします。
ボツリヌストキシン療法
咬筋（こうきん）は、食べ物を噛むときに使われる筋肉で、食いしばりや噛みしめ癖があると過度に発達してしまいます。その結果、顎の痛みや血行不良、頭痛や肩こり、さらにエラの張りやむくみといった症状につながることがあります。
咬筋ボツリヌストキシン注射は、この筋肉に「ボツリヌストキシン製剤」を注射して働きを抑える治療法です。筋肉の動きをコントロールすることで、歯や顎関節への負担を減らし、症状の改善が期待できます。
歯科医院で行う安全なボツリヌストキシン療法
ボツリヌストキシンと聞くと美容外科での施術をイメージされる方も多いですが、歯科医院で行うボトックス療法は、美容目的ではなく「歯ぎしりや食いしばりの改善」「歯やインプラントを守る」といった機能面の改善を主眼としています。
歯科医師は咬合や顎関節の状態を熟知しているため、見た目だけでなく噛む機能や口腔環境全体を考慮した治療が可能です。口元の美しさを整えると同時に、歯や顎の健康を守りたい方には、歯科医院でのボツリヌストキシン療法がおすすめです。
※美容目的のボツリヌストキシン療法は行っておりませんのでご了承ください。
咬合治療
スプリント療法やボツリヌストキシン療法は、歯や顎の負担を緩和させることには向いています。しかし、歯ぎしり・食いしばりの根本的な改善ができる方法ではありません。
歯ぎしり・食いしばりをしている原因は患者様によって異なりますので、精密検査の結果のもと、治療方法をご提案いたします。
詰め物・被せ物の高さが合っていない、かみ合わせが悪いなどの原因に合わせて治療計画を立案しますのでご安心ください。 また、ストレスが影響している場合もありますので、ご自身に合ったストレス発散方法を見つけることも大切です。