歯周病は抜歯の理由第一位
歯周病は、歯垢に含まれる細菌によって歯ぐきや歯を支える骨が壊されていく感染症です。日本人が歯を失う原因の第一位とも言われ、誰にでも起こり得る身近な病気です。
初期の歯肉炎の段階では、歯ぐきが赤く腫れる程度で自覚症状はほとんどありません。しかし、症状が進むと歯みがきや食事の際に出血が見られ、口臭が強くなることもあります。この頃から歯を支える骨の破壊が始まり、やがて歯のぐらつきへとつながっていきます。 一度進行してしまった歯周病は、完全に元に戻すことが難しく、最悪の場合には抜歯を避けられなくなるケースもあります。
歯は食べる機能だけでなく、発音や表情にも深く関わるため、失うことは生活の質の低下につながります。 だからこそ、日常的なケアと定期的な歯科検診による予防が欠かせません。当院では歯周病を早期に発見し、進行を防ぐための予防歯科に力を入れています。
当院の歯周病治療
歯周病の再発リスクを抑えるための基本「歯磨き指導」
歯周病は、歯科医院での処置だけで完治するものではありません。患者様ご自身による毎日のセルフケアが、治療の成果を大きく左右します。歯磨きや歯間ブラシ、デンタルフロスの使い方ひとつで、治療期間や予後が大きく変わります。
当院では、治療後も良い状態を維持できるように、歯磨き指導を丁寧に行っています。歯ブラシの種類や毛の硬さ、フロスや歯間ブラシの選び方など、日常のケアで気になることがあればお気軽にご相談ください。
歯周病の進行を抑えるために重要な「SRP」
スケーリング・ルートプレーニング（SRP）は、歯周病治療の基本的な処置のひとつです。歯の表面や歯ぐきの下に付着した歯垢や歯石を丁寧に取り除き、歯の根の表面を滑らかに整えます。特に歯石はご自身の歯磨きでは除去できないため、専門的な器具を用いたプロフェッショナルケアが不可欠です。
SRPを行うことで炎症の原因を取り除き、歯ぐきの治癒を促進します。
切開しない重度歯周病治療「M-MINST」対応の歯科医院
従来、中等度以上の歯周病（歯周ポケット4mm以上）の場合、外科的な処置が必要とされてきました。
しかし、近年はマイクロスコープと専用の器具を用いた「低侵襲非外科治療（M-MINST）」が登場し、歯ぐきを切開せずに歯周ポケットの奥まで清掃できるようになりました。 これにより、患者様の負担を減らしながら、深部に存在する歯石や細菌を効果的に取り除くことが可能になっています。
日比谷歯科医院では、「M-MIST」に対応できる歯科医師が在籍していますので、気になる方はお気軽にご相談ください。
重度歯周病の方には「歯周外科治療」
歯周ポケットが深く、通常の処置では改善が難しい場合には、歯周外科治療が必要です。代表的な方法が「フラップ手術（歯肉剥離掻把術）」で、歯ぐきを切開して歯根を直接確認しながら、奥深くの歯石や感染源を徹底的に除去します。
外科治療は、歯周病の進行を止め、失われつつある歯周組織の回復を目指すための大切なステップです。当院では、患者様の症状に合わせた最適な外科処置をご提案いたします。
歯周外科治療と並行して行うと効果的な「歯周組織再生療法(リグロス、エムドゲイン)
通常の歯周病治療は進行を止めることが目的であり、一度失われた骨や歯ぐきを自然に取り戻すことはできません。
外科治療を行っても、歯ぐきが下がったことにより歯が長く見えたり、しみたりするなどの症状が残る場合があります。そこで選択肢となるのが「歯周組織再生療法」です。
専用の薬剤（リグロスやエムドゲイン）を用いて、破壊された骨や歯周組織の再生を促し、歯を支える土台を回復させます。再生療法を組み合わせることで、歯周病治療の予後をさらに良好に導くことができます。
歯ぐきが下がって見える方へ
歯ぐき（歯肉）は、歯を支える大切な組織ですが、とても繊細で影響を受けやすい部分でもあります。歯周病や加齢だけでなく、咬み合わせの不具合、歯ぎしり、強い力でのブラッシングなど、一見些細なことが原因となって後退してしまうことがあります。 歯ぐきが下がると歯の根元が露出し、歯が長く見えるといった見た目の変化に加え、汚れがつきやすくなってむし歯や知覚過敏を招くことがあります。 これにより「冷たいものがしみる」「見た目が気になる」といったお悩みにつながることも少なくありません。 当院では、後退した歯ぐきを回復させるための歯肉再生療法や歯肉形成外科にも対応しています。気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
当院で対応可能な「歯肉形成外科」
CTG（結合組織移植術）
歯ぐきは表層の「上皮組織」と、その内側にある「結合組織」から成り立っています。CTGは、上顎（口蓋）から結合組織のみを採取し、歯ぐきが不足している部分に移植する方法です。
上皮組織の下に移植されるため、表面の色合いに違和感が出にくく、自然な仕上がりが期待できます。さらに、結合組織だけを使用するため身体への負担も比較的少ない治療です。
FGG（遊離歯肉移植術）
FGGは、上顎から上皮組織と結合組織を一緒に採取し、不足している部分に移植する方法です。
FGGは強固で厚みのある歯肉を形成できるため、歯やインプラントの長期安定につながります。プラークコントロールもしやすく、清潔な口腔環境を維持しやすくなるメリットがあります。
歯周病の進行段階と治療方法
歯周病は、歯と歯ぐきのすき間（歯周ポケット）の深さを測ることで進行度を把握できます。進行段階によって治療方法は異なり、早期であれば生活習慣の改善で回復できる一方、進行してしまうと外科的な処置や抜歯が必要になる場合もあります。
歯肉炎
歯ぐきが赤く腫れ、歯磨きのときに出血しやすくなります。痛みやしみるといった症状はほとんどありません。
治療法
歯科医院でクリーニングを行い、歯垢や歯石、細菌の膜（バイオフィルム）を除去します。正しいブラッシングを続けることで改善が期待できます。当院では、歯科衛生士が歯ブラシの選び方から磨き方まで、患者様に合わせて丁寧にアドバイスしています。
軽度歯周炎
健康な歯周ポケットは通常２〜３mm程度です。歯を支える骨がわずかに溶け始め、歯ぐきの腫れや出血が見られることがあります。
治療法
専門の器具を使い、歯の表面や根元に付着した歯垢や歯石を徹底的に取り除きます。早期に治療を行うことで進行を防ぎやすくなります。
中等度歯周炎
中程度歯周炎に罹患すると歯周ポケットは4mm程度に深くなってきます。骨の1/3～2/3が失われ、冷たい水がしみたり、出血や腫れを繰り返したりするようになります。歯がぐらつき始めたり、膿が出て口臭が強くなったりすることもあります。
治療法
歯周ポケットの奥深くに付着した歯石を除去します。場合によっては、歯ぐきを切開し、根元まで清掃する「フラップ手術」が必要です。
当院では麻酔注射の痛みも軽減する工夫を行い、痛みが苦手な患者様にも安心して治療を受けていただける体制を整えています。
歯周ポケットは5mm以上になっています。骨の2/3以上が溶け、歯が大きくぐらつきます。歯ぐきを押すと膿が出ることがあり、硬いものが噛みにくくなります。放置すると歯が自然に抜け落ちていきます。